旬の農作物なう!

姫芋ひめいも(さといも):定植

2019.05.16掲載

「子姫芋」は、寒河江市皿沼地区を中心に江戸時代から栽培されており、地域の生産者が代々守り受け継いできた伝統野菜です。ねっとりとした粘りとなめらかな食感が特徴で、山形の郷土料理“いも煮”に大変適しています。近年では首都圏のレストランでも注目を集める話題の食材です。

5月10日、寒河江市にある今井正道さんの農園に伺いました。今井さんが役員を務める寒河江市子姫芋組合では、生産技術向上や美味しさを多くの方に知ってもらうため、ブランド化に取組んでいます。
今回は定植作業の様子を取材しました。


@ 寒河江市子姫芋組合の役員でもある今井さんです。
これから苗の植付け作業をするということで同行させていただきました。

A 苗づくりです。一般的にはポット栽培しますが、今井さんはビニールハウスの中で直接地面に植えます。
4月上旬に植えた種いもから徐々に芽が出はじめました。これを掘り起こして苗にします。

B いもを植えるベッドがまっすぐ平らに並んでいます。(今井さんのていねいな仕事振りが伺えます。)

C 最初にいもを植える場所に穴をあけていきます。

D 今回植えるのはこの状態の苗です。萌芽とともに、発根も始まっています。植えた後 上からしっかり押さえると活着が早いとのことです。

E 今井さんが植え方を説明しながら実演してくれました。
やや深め(萌芽した芽がかくれるくらい)に植付けます。

F 定植後はマルチの穴がかくれるくらいの覆土を行い、しっかりとおさえます。植えた直後はこのとおり、苗の姿が見えません。

G 1週間後、見に行くと丸まった葉の先端がちょこっと出てきました。

次回はさといもの重要な作業である培土について取材する予定です。

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姫芋ひめいも(さといも):培土

2019.08.29掲載

7月下旬、今井さんの圃場で培土の様子を取材させていただきました。


@ 今回は、さといもの生長にとても重要な土寄せ(培土)作業に同行させていただきました。
前回の定植から約3ヶ月後の畑です。
昨年は干ばつで大変でしたが、今年は適度な雨にも恵まれ順調に生育しています。なんと昨年の倍くらい大きくなっているとのこと。

A 梅雨の間はさといもの生長と共に雑草も旺盛に生い茂ります。
この時期の重要な作業は草取りです。
まず、草を取り、土壌養分を取られないように、また土寄せがうまくいくようにします。雑草に負けてしまうと、いもの生育に大きな差が出てきます。

B 機械を使い、土寄せをします。
収穫までの間、2回行います。
1回目はいもに光が当たって青くなるのを防ぐため(7月下旬)、2回目は乾燥防止・保温のため(8月下旬〜9月上旬)と、それぞれ意味があります。

C しっかり土寄せができたら、天気を見ながら乾燥しないように秋まで水を与えていきます。
さといもはお盆の頃に一番育ち、孫いも・曽孫ひこいもが増える大事な時期だそうです。

露地栽培のため、天候に左右されてしまう難しさを感じましたが、「農業は教科書に載っていることだけでは出来ない!」と試行錯誤を繰り返し、毎年、良質な子姫芋を出荷している今井さん。「今年は良い!大丈夫!!」と話していました。収穫が楽しみです。

次回は、いよいよ収穫の様子を取材します。

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姫芋ひめいも(さといも):収穫

2019.12.4掲載

実りの秋を迎え、今井さんの畑で収穫を始めるとのことで同行させていただきました。


@ 10月上旬、今年初めての収穫です。
春から大切に育ててきた子姫芋が大きく生長していました。
まず、葉っぱを切り落とします。

A 畑の端など、機械が入れない所は手作業になります。二人で息を合わせ、いもを傷つけないよう掘り起こします。

B 土の中から出てきた株には、親いも・子いも・孫いも・ひ孫いもがビッシリついていました。

C 最盛期を迎えた11月上旬。
今井さんの畑は最上川沿いにあり、台風19号の際は一部冠水したところもありましたが、翌日には水は捌け、いもも無事だったそうです。
今日は機械を使っての収穫です。

D この日は早朝に少し雨が降り、掘り出されたいもの周りには水分を含んだ重い土がたくさん付いていました。
これを手作業で丁寧に落としていきます。
しかし、固い土は手で取るには難しいため、カマを使って土をそぎ落とします。
「いつもはサラサラ落ちるのに、雨が降ると仕事量が倍になる!」とおっしゃっていました。

E 次は株を親・子・孫・ひ孫に分けていきます(それぞれ食感や食味が異なるため)。
その後で大きさL/M/Sに分けます。
このように今井さんが所属する子姫芋組合では出荷基準を厳正に決めており、丁寧に選別することで、柔らかく良質ないものみを出荷しています。

F 今年もたくさん収穫できました。
袋詰めした“土いも”や真空パックにした“真空洗いいも”が市内の直売所に並びます。
山形の郷土料理「芋煮」をはじめ、寒河江市内の学校給食やふるさと納税の返礼品、東京のレストランではおしゃれな一品に変身します。柔らかく、ねっとりトロける食感をぜひ味わってくだい。

昨年は干ばつ、今年は台風と毎年変わる厳しい気象条件の中、長年栽培を続けている今井さん。『川沿いの水はけの良い肥沃な土壌が子姫芋の栽培に適している。』と笑顔で話してくれました。

次回は出荷と貯蔵の様子をお伝えします。

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姫芋ひめいも(さといも):出荷

2020.2.12掲載

今回は秋にたくさん穫れた子姫芋の出荷と貯蔵の様子をお伝えします。


@ 直売所などで見かける、便利で人気がある洗いいもの真空パックはどのように作られているのでしょうか。
まず、皮むき機に入れ3分間回し、大部分の皮を取り除きます。
今は機械がありますが、昔は手作りの皮むき機を使用していたそうです。

A 機械で取り切れない細かな部分は手作業で丁寧に取り除いていきます。
滑らないように手袋をして、皮むき用の小刀を使いきれいに仕上げます。

B 皮をむいたいもは、きれいに洗浄し、子姫芋組合専用の袋に入れ、組合の基準に沿ってしっかり計量していきます。
スタッフの皆さんは、手慣れた様子で素早く正確にパック詰めをしていました。

C そして真空包装機へセットします。

D シューっと音がして、あっという間に空気が抜け、真空パックが出来上がりました。
今井さんの洗いいもは安全・安心そして柔らかい食感そのままにいただくことができます。

E 次きれいに包装された「子姫芋」。
洗いいも(真空パック)はすぐ使うことができ、大変便利なため直売所に並べるとあっという間に売り切れる人気商品です。
一方、土いもは皮をむく手間は必要ですが、保存期間が長く、いもの美味しさをそのままいただくことができます。
ぜひ、用途に合わせてお選びください。

F 次は山形の寒い冬を越すための貯蔵方法を紹介します。
秋にたくさん収穫された子姫芋はビニールハウスの地面に穴が掘られ、奥まで大量に積んでありました。
量の多さに圧倒されてしまいました!!

G 収穫後は、子いも孫いも等は分けず、親株についたままにします。
土もついた状態で茎の切り口を下にし、積み上げていきます。
最後に防寒対策のため、上から黒いシートを被せ、更に寒くなれば布団等も被せるそうです。
冬の間はここから掘り出して出荷されます。

H 一方、今春植え付け用の種いもは今井さんのお宅にある、今ではとても珍しい“穴蔵”で保存しています。
中は結構広いですね。
ビニールハウスと同じように詰め込んであります。

I いもの呼吸が落ち着いた数日後、保温性があり通気性も良い、稲わらで覆い春まで貯蔵しておきます。

今井農園では寒河江市内の学校給食にも子姫芋や野菜を提供しています。
アレルギーに悩む子供達の話を聞き、洗いいもは完全無添加にしたそうです。
「私達は昔から代々受け継がれてきた子姫芋を作ってきた。今まで楽しい農業をさせてもらって幸せだと思う。」また、「しっかりしたものを作っていれば、これからも(子姫芋を)守ってくれる若い人が出てくるかもしれない」とおっしゃっていました。
たっぷりの愛情と長年の技術が詰まった「子姫芋」をぜひご賞味ください。
約1年に渡り、取材にご協力いただいた今井さんご夫妻、そしてスタッフの皆様、ありがとうございました。

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