さくらの旬の味覚発見!

山形のラ・フランス

山形に君臨する誇り高き女王は、とろけるような上品な味わい!!
 秋をむかえた山形県。稲刈りも終わり、山々は赤く色づいて、とんぼが飛び交う空を見ながら想いにふけってみたり…。な〜んてロマンチックな気持ちもお腹の音にかき消されてしまうさくら!だって、山形の秋はおいしいものが沢山!!
 今回お邪魔したのは、JAてんどうなし部元部長の大石隆雄さんのラ・フランス畑。ラ・フランスについて、色々お話をお伺いしました!

*ラ・フランス生産者とラ・フランス畑*
 元々は田んぼだったという大石さんのラ・フランス畑。40アールの畑は陽当たりがとても良く、すみずみまで太陽の光が行き届いている感じ!山形県内のほとんどのラ・フランス栽培は、自然に枝を伸ばす「立ち木栽培」ですが、大石さんの栽培は、樹を水平方向にのばし、まんべんなく陽が当たるように栽培する「棚栽培」。この栽培方法は、全体的に木を低くするため摘果や収穫などの作業がとてもラク!ただ、「立ち木栽培」と比べ手間とコストがかかります。

 例えば、畑全体に針金で棚を作る作業は、大抵は専門の業者に依頼します。しかし、大石さんはなんとこの大変な作業をご自分でやられたそうです!!しかも、樹が地面に沈むのを防ぐために畑の地中にコンクリートを敷く作業も、生コンミキサー車を手配しご自分でやられたというから驚き!とってもマメで、細かい所まで気配りを絶やさない大石さんですもの、おいしいラ・フランスが出来るのも納得ですね!!

 大石さんがラ・フランス栽培を始めたのは20数年前。当時、主に栽培されていた「バートレット」という品種の西洋ナシを結実させるために、受粉樹としての役割を努めていたのがラ・フランスでした。バートレットは缶詰や加工用としてとても人気がありましたが、影の存在のラ・フランスがバートレットよりもおいしいという事を、農家の方々は知っていました。大石さんもそのおいしさに惚れ込んだ農家の一人だったのです。昭和55年頃、バートレットの人気が落ち込みはじめたのをきっかけに、なんとかラ・フランスを売り物にできないかと農家自らが立ち上がりました。そして昭和50年後半、ラ・フランス栽培への取り組みが本格的にスタートしたんだそうです。

 
畑に太陽がさんさんと! 【クリックで拡大写真】


平棚栽培で固定された枝。実に光がたっぷりとあたってるでしょう?
*栽培方法*
 畑中にきれいに張られた大石さん力作の棚。この棚に、動かない様に枝を紐などでしっかりと固定します。こうすることで、それぞれの枝に光が十分にあたり、効率的に伸ばしてあげる事ができるのだそうです。高さも制限されているので、風がふいても実が落ちにくいというメリットもあります。特にラ・フランスは他の果物と比べて落ちやすい実。この棚のおかげで去年の台風の被害も少なくてすんだそうですよ!以前から山形の気候が果物栽培に適している事は伝えてきましたが、他県に比べて風が少ないというのも、ラ・フランスにとっては大事な事ですよね!!

 ラ・フランスの栽培作業はほとんど丸1年を必要とします。冬の間は大切な樹を雪の重みから守るための雪下ろし、春は太陽の光が当るように余分な枝を切り落とす剪定作業や、着果制限をするため蕾を取る摘蕾作業、良い実だけを残して残りを切り落とす摘果作業、そして夏期剪定など夏場の管理も気が抜けません。10月の収穫を終えた後も、余分な枝を切ったり、堆肥等を与えての土作りなど、次の年の準備に追われます。農薬は農協の指示のもと、決められた薬のみを使用。農協と栽培者が1ヶ月おきに会議を行い、検討しながら慎重に判断しています!

 ラ・フランスはりんごなどと違い、「追熟」と言う作業を経て始めてあの独特の香りと味と食感がうまれます。収穫したてのものは固くて、すぐに食べることは出来ません。収穫後は予冷庫で1週間から2週間保管されます。その後常温でさらに2週間、こうして初めて食べ頃を迎えます!ラ・フランスは、食べ頃なのかそうでないのかは見た目では判断しにくいのですが、肩の部分がやわらかいものが食べ頃♪ちなみにお店で売られているラ・フランスは、ちょうど食べ頃になるよう出荷されて並べられているので、指で押して柔らかさをチェックしたりするのはご遠慮くださいね!

 そうそう、今年は日照不足が心配されましたが、大石さんの畑は全体の陽当たりを良くしているため特に問題はなく、味と香りは文句ナシの出来映え!! 実はさくら、畑でとれたてのをかじってみたところ、結構甘くておいしかったんです!固さは少しあるけれど、りんごくらいの固さでした!ラ・フランスは、もぎたてでも糖度が12度もあるんですって。熟したものは14度、15度まで糖度がアップするそうなので、やっぱりもう少しおとなしく待つ事にしま〜す!

  *ラ・フランス王国のこれからの課題*
 日本で初めてラ・フランス栽培に挑戦した山形県。現在も、全国のラ・フランスの8割を山形県産がキープしています。その中でも天童市は面積・生産量ともに日本一!!その誇りを保つためにも、まだ残されている課題にどんどん取り組んでいかなくてはなりません。落ちやすい実を守るための防風対策、味と香りの良さを更に引き出す方法、そして、安全でおいしい果実を皆さんに届ける方法など、気になる事は色々あるそうです。そして、ラ・フランスを知らない人がまだまだ多いのも現状。今現在、ラ・フランスの知名度は関東・関西止まりだとか…。これからの知名度アップも課題の一つですね!
 日本一のラ・フランス王国、山形!とろ〜りクリーミーな、甘みと果汁たっぷりの最高の果実を、皆さんもぜひ堪能してくださいね!!
 

なんでも出来ちゃう大石さん。
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畑中に見事な実が!!
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デリケートなラ・フランスを優しくもぎ取ります。


ちゃんと見張っててねー!
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もぎたてもかじるとほんのり甘いの!

センターは朝から活気があふれていました!
*JAてんどうラ・フランスセンター*
 収穫されたラ・フランスは、ここへ運ばれてきます。早朝から慌ただしい雰囲気のセンター、皆さんバタバタと大忙し!すぐに2度〜5度の低温貯蔵庫へ入れられ、予冷されます。この日、予冷庫には20kgのコンテナが145,000個も!!!詳しくはこちらをご覧下さい!
 

更新日 H20.11.12

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