旬の農作物なう!

啓翁桜:枝切り・山あげ

2015.1.19掲載

12月11日、蔵王花木研究会の「啓翁桜」ほ場の近くにある作業場に伺いました。作業場には、桜を促成するための床暖房施設があり、温かく感じます。ここでは、収穫した長い枝の枝切り作業と花を早く咲かせるための作業を行っています。


@作業場の近くに、ほ場から切り出した長い枝を保管しています。桜の花が咲くには、眠った状態の花芽が一定時間8℃以下の低温にさらされることが必要です。12月中旬にはその時間が500時間に達し、たっぷり睡眠をとった花芽が起きかけている状態になります。この枝を作業所内に運びますが、保管した枝には雪が30cmほど積もっており掘り出すのが大変です。これを、前回の取材と同様に必要な長さに調整・選別を行います。

A100cm・120cm・140cmに切り揃えた枝は、出荷形態と同じ10本ずつ、紐で結束します。枝の先端はボリューム感を出すため、きつすぎないように縛るのがポイントです。90cmの枝は数十本まとめて束にし、出荷時に3本1セットにします。

B手作りの浴槽には、ボイラーで温めた40度のお湯が入っています。ここに、先ほど束にした枝を入れ、蓋と重しを載せます。しっかりと沈めて1時間、温湯処理を行うことで花芽が眠りから覚めます。

C1時間後、浴槽から出した枝に、ジベレリンを噴霧します。ジベレリンは植物ホルモンの一種で、温湯処理と同様に花芽が眠りから覚めるのを促します。その後、吸水のために水を入れたバケツに枝を入れ、床暖房のある部屋に20日間程おき、花芽を生長させます。床暖房をしている部屋は、気温が20℃以上にならないように管理しています。

D12月24日には出荷作業を取材しました。温室に置かれた枝は、蕾が大きくなり、花びらが顔を出しています。ピンクに染まり、いまにも咲きそうです。

E90cmの枝を3本1セットの束にしています。花が咲いた時の見栄えを考えて、長めのものと短めのものを組み合わせて3本選び輪ゴムで留め、包装します。蕾が落ちないように注意しながら作業を行います。

F箱詰め作業です。輸送中に傷まないように、新聞紙にくるみます。

G箱詰めした「啓翁桜」は農協を経由して東京や大阪を中心に出荷され、年末年始の需要に応えます。

出荷した桜は1週間くらいすると綺麗に咲くそうです。華やかな雰囲気を彩る「啓翁桜」は、3月末の卒業式シーズンまで生産が続きます。蔵王花木研究会のみなさん、取材協力ありがとうございました。

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啓翁桜:枝切り・山あげ

2014.9.25掲載

11月1日、「啓翁桜」の枝切りの時期です。蔵王花木研究会のメンバー9人が4日間かけて作業をするということでお邪魔しました。当日は比較的暖かく気温は14℃ありましたが、すでに蔵王の山頂は雪に覆われ、冬の訪れはもうすぐです。

切ったばかりの「啓翁桜」の枝の花芽は眠った状態(休眠状態)です。綺麗な花を咲かせるためには、8℃以下の低温に900時間以上あて、ひと冬を越したと思わせて眠りから覚ます必要があります。そのため、「啓翁桜」を年末年始にお届けするために、蔵王山の標高差を利用して8℃以下の低温となる場所へ、収穫した「啓翁桜」を移しています。そして低温に500時間以上置き、眠りから覚めかけた花芽を完全に目覚めさせる処理(休眠打破:きゅうみんだは)を行います。


@「啓翁桜」の枝を、長さで選別します。棒を持っている人がいますが、この棒には長さの目印が付いており、90cm、100cm、120cm、140cmの4つに分けていきます。売れ筋は120cmの桜です。

A選別した枝を見ると、たくさんの花芽が付いていました。花芽のついていない枝は花が咲かないので取り除きます。

B枝は直径約3cm以上の太いものもあるので、これを切るためには大きな枝切りはさみが必要です。また、電動のはさみは約30万円と値段は高めですが、とても便利で収穫に欠かせない道具です。

C長さ別に束ねた枝を、トラックに運びます。「よいしょっ」と掛け声をかけて担いでいました。

D軽トラック3台分の枝を、より標高の高い場所に運び上げます。

E10分ほど車で移動し、標高800mにある沼のほとりに到着。「啓翁桜」のほ場よりさらに400m高い所にあり、寒さを感じます。山の尾根には蔵王のロープウェーが見えます。

F冬の間使われていないロッジを借りて、暗所で低温の環境をつくります。「啓翁桜」の枝に給水させるためにバケツに水を張り、枝を立てて、部屋の中に並べます。作業が終わるとブラインドを下ろし、光が入らないようにします。そのままの状態で12月初めまで低温に当てます。

次回は、花芽を眠りから覚ます処理、休眠打破についてご紹介します。

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啓翁桜:追肥

2014.9.25掲載

暑さも残る8月28日、上山市の工藤庄一郎さんが組合長を務める蔵王花木研究会の啓翁桜ほ場に行きました。工藤さんは、りんどうやウメモドキなども手掛ける花き農家です。昭和の時代から切り花を栽培するベテランですが、啓翁桜の栽培は始めてまだ8年目ということで、毎年が勉強だと謙虚に語って下さいました。

今回は啓翁桜の生育にとって重要な、追肥作業を取材しました。環状剥皮した枝が弱って早く葉が落ちてしまわないように、また、充実した花芽がついた美しい桜を生産するためにこの作業を行います。


@肥料を手で撒くには、6haとほ場が広すぎるので機械を使います。トラクターの後ろに、肥料を撒くための装置(ブロードキャスター)を付けて、たった2人で作業します。

A肥料を投入しています。肥料は粒状のものを使用していました。肥料は一袋20kgで、一度に8袋分、160kgの肥料を散布できます。

Bブロードキャスターから勢いよく肥料が散布され、広いほ場に早く均一に撒くことができます。

C走って追いかけましたが、あっという間に見えなくなりました。速い!

D遠くにも啓翁桜のほ場が見えます。広いですね!今回は4時間かけて、6haのほ場に1.6tの肥料を散布しました。

啓翁桜は比較的、管理に労力がかからない品目ですが、夏場はこの追肥と、年に数回の防除や除草作業がポイントとなります。除草も機械に乗って作業しますが、木の周りは傷つけないよう丁寧に3日くらいかけて行います。 次回は10月下旬、収穫の様子を取材します。

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啓翁桜:環状剥皮

2014.6.2掲載

お正月にも満開の桜が楽しめる「啓翁桜」。春のお花見の桜より一足早く開花させる促成技術により、真冬でも満開の桜をお届けすることが出来ます。

県内での促成栽培の取組みは早く、昭和40年代後半に始まりました。夏から秋の昼夜の気温差が大きい山形の気候は、啓翁桜の栽培に適していることから、現在では全国出荷量の80%以上が山形県産で占められています。

より美しい啓翁桜をお届けするために大切なことは、枝に花芽をたくさんつけることです。そのため環状剥皮(かんじょうはくひ)を行っています。この技術に関する講習会が5月中旬に開かれ、上山市の鈴木俊さんのほ場を訪ねました。


@啓翁桜のほ場です。皆さんが馴染みのあるソメイヨシノと違い、根元から細い枝が直立するのが特徴的です。

A啓翁桜の長さは3〜4m位になります。作業しているのが鈴木俊さんです。

B環状剥皮する専用の道具を使っています。見栄えのよい花が付きそうな枝を狙って剥皮します。

C幅1cmで枝の表面を一周削り取ります(この部分に栄養分の通り道があります)。葉で作られた栄養分が枝の中に蓄積するため、花芽がたくさんできるようになります。残った白い部分(この中には水の通り道があります)は、さわるとすべすべします。

D剥いた表皮です。こんなに薄いです。

次回は11月、収穫の様子を取材します。
たくさんの花芽ができると良いですね。

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