旬の農作物なう!

山形赤根ほうれん草:収穫

2016.1.27掲載

1月12日、山形赤根ほうれんそうの収穫作業を取材しました。

今回は雪下からの収穫作業を取材する予定でしたが、暖冬の影響で今年は雪がほとんど積もっていません。例年とは畑の様子が異なりますが、露地栽培の収穫作業は終盤を迎えていました。


@収穫間近となった畑の様子です。例年は30〜40cmの積雪がありますが、今年は雪が無く、大きく生長した山形赤根ほうれんそうとなっています。

A収穫作業の様子です。稲刈り鎌を使い、葉が折れたり、傷ついたりしないように根をつけ丁寧に、1日に1〜2畝ほどを収穫します。柴田さんは、「今年は雪が無いので、いつもより収穫作業が楽だ」と話してくださいました

B収穫した山形赤根ほうれんそうは、いったん箱に入れておきます。根は5cmほど残して収穫しています。根の甘さを測定したところ、その値は驚きの18.7度!これはぶどうに匹敵する甘さです。今年は雪が積もっていないものの、冬の寒さにさらされ、甘みがぐっと増していることが良く分かります。

C収穫した山形赤根ほうれんそうの水洗いをします。井戸水を溜める水槽があり、この水を使って根や葉についた汚れを落とします。井戸水の温度は10℃以上あるため、寒い冬の時期でも作業がはかどります。洗い終わった山形赤根ほうれんそうは、3本を1束に袋詰めして地元の市場に出荷しています。

D市場に出荷された山形赤根ほうれんそうは、県内の八百屋などの店頭に並びます。写真のお店では、柴田さんの山形赤根ほうれんそうの棚を個別に設けています。

今回の取材では、生産者の柴田さんの他に、販売者の意見として、山形県第1号シニア野菜ソムリエでもある山口美香さんに山形赤根ほうれんそうへの思いについて聞きました。


Eまずは山形赤根ほうれんそうの魅力について伺いました。山口さんは、「やはり一番の魅力は根・葉柄の甘さであり、さらにえぐみが少ないのが特徴です。柴田さんが生産した露地物は特に甘みが強く、葉の緑色も濃いため、消費者の方々からも高い人気です。」また、その魅力を十分に伝えたい想いもお持ちで、「露地物の美味しさや栽培の大変さが十分には消費者の方々に伝わっていない部分もあるので、販売する立場である私たちが皆さんにもっと発信していきたい。」と話してくださいました。
F山形赤根ほうれんそうの美味しいおひたしの作り方についても伺いました。「まず、根の太いものについては底に十字の切れ目を入れ、茹でやすくします。ただし、茎や葉はビタミンなどの栄養分が抜けないように、切らずに丸ごと茹でます。鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させたら、山形赤根ほうれんそうを立てて入れ、先に根を30秒ほど茹でます。その後、鍋に寝かせて、再沸騰させて1〜2分茹でたら、冷たい水で洗い流し、水気を切って完成です。」さらに山口さんは「おひたしの他に根の天ぷら(根の上の茎の部分2〜3cmを含む)もおすすめです。根は天ぷらにすると香ばしくなり、天つゆよりも塩との相性が抜群です。」と教えてくださいました。山口さんの調理した根の天ぷらを食べた柴田さんは、「こんな美味しい食べ方もあったんだ!」と絶賛していました。

柴田さんは、山形赤根ほうれんそう栽培の第一人者であり、露地栽培に対する強いこだわりを持っています。山形赤根ほうれんそうは病気や湿害に弱く、露地栽培はとても手間がかかります。「ハウス栽培でも十分に美味しいが、低温にさらされる露地で栽培してこそ、山形赤根ほうれんそう本来の美味しさが最大限に引き出される。」と柴田さんはおっしゃっていました。
強いこだわりがあるからこそ、手間を惜しまず、美味しい山形赤根ほうれんそうを作ることが出来るのだと取材を通じて感じました。

柴田さん、山口さん、取材に御協力いただき、ありがとうございました。

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山形赤根ほうれん草:播種

2015.9.30掲載

10月16日、山形赤根ほうれんそうの間引き作業を取材しました。

間引きは、混み合った株を抜きとり、軟弱な生育にならないよう適正な栽培密度にするための作業です。間引きのタイミングが遅くなると、株同士が絡み合って抜きにくくなるので、適切な時期に行うことが重要です。


@種まきから約3週間後の畑の様子です。一つのうねに対して3本の緑のラインが真っすぐに伸びています。山形赤根ほうれんそうの種子はしっかり芽を出して生長していますが、このままでは株が多すぎるため、間引きを行います。

Aうねの株を拡大した写真です。左右に開いている細長い葉が山形赤根ほうれんそうの最初に出た葉(子葉)です。また、子葉の間から出てきている丸みを帯びた葉が普段見慣れている、食べる葉(本葉)です。

B間引き作業は手作業です。生育の悪いもの、重なって発芽したものなどを抜いてゆき、株の間がおよそ15pとなるようにします。10 aほどの畑を3日かけて間引きします。生長してから間引きを行う場合は、鎌で株を刈っていくそうです。

C間引きした株の写真です。右の株の根は白く、左の株の根は赤みを帯びているように見えます。ほうれんそうは雌雄異株であり、山形赤根ほうれんそうは雄株の方が、根の赤みが濃くなるとのことです。間引きの時点で根に赤みを帯びている株もありますが、まだこの時期に雌雄を見極めることは難しいそうです。

水のやり過ぎは病害のもととなるため、間引きの後は乾燥しない限り、水やりは極力行いません。今回の畑の山形赤根ほうれんそうの収穫時期は2月になる見込みです。

次回は、雪下からの収穫作業を取材します。

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山形赤根ほうれん草:播種

2015.9.30掲載

村山伝統野菜の山形赤根ほうれんそうは、葉の付け根や根部が鮮やかな赤色で、葉は肉厚でやわらかく甘みが強い品種として人気があります。とくに、露地で栽培された山形赤根ほうれんそうは冬の寒さにさらされ、甘みが一段と強くなります。今回はこうした山形赤根ほうれんそうの栽培を、播種から収穫まで追っていきます。

9月17日、山形市の柴田吉昭さんのもとを訪ねました。柴田さんは、山形赤根ほうれんそうの育種を行った農家の3代目です。山形赤根ほうれんそうの他に、トマトやきゅうりなどの園芸作物を主に栽培しています。今回は播種作業を取材しました。


@取材に協力していただいた柴田さんです。柴田家では100年以上前から山形赤根ほうれんそうを栽培しているということでした。

A山形赤根ほうれんそうの種子です。左の写真は採種したそのままの状態ですが、いくつかの種子が塊となり、とげが突き出て触るとチクチクします。右の写真は種播きしやすいように種子を精米機にかけた後のものです。とげがなくなり、触っても痛くありません。種播きの際は、こちらを播きます。

B種播きには、ロータリーシーダ(播種機)と呼ばれる機械を使います。左のローラーで植溝をつくり、中央の箱から種子が点播された後、覆土されて、最後に後ろのローラーで土を抑えます。

Cうねを踏まないように横を歩きながら、播種機を押していきます。この作業を一つのうねで3回行ったら、次のうねに移って同じように播種機を押していきます。2時間かけて10aの畑に種を播きます。

山形赤根ほうれんそうは湿害に弱いため、排水対策が重要です。種播きの前にサブソイラーという機械を使って畑に溝を掘り、排水性を高めています。
露地栽培の山形赤根ほうれんそうは、9月中旬に播種を行い、発芽してから約2週間後に間引きを行います。収穫時期は、播種時期によって変わりますが10月から2月までです。

次回は間引きの様子を取材します。

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