旬の農作物なう!

蔵王サファイヤ:定植後の管理

2018.06.11掲載

山形市の大郷地区では、「蔵王サファイヤ」の名称で、なすが栽培されています。栽培されている「真仙中長(しんせんちゅうなが)」は、紫色に輝く見た目から、この名称が付けられ、商標登録されています。小ぶりで皮がやわらかく、漬物にぴったりです。現在 13 人が生産しています。

5月14日、「蔵王サファイヤ」を栽培している丹野 菊男さんのハウスに伺いました。丹野さんはなす栽培を始めて 20 年になり、現在は 900 坪のハウスで栽培しています。今回は定植後の栽培管理について紹介します。


@ 定植は3月3日に行われ、うね幅は 180cm、株間は 55cm です。現在、草丈は大きいもので 100cm を超えています。定植後は 13℃以下にならないよう、ハウス上部の天カーテン、ハウスサイドのカーテン、うね上のトンネルを用いて、5月上旬まで加温したとのことです。右の写真は、暖房機です。うね上のトンネルに送風し、ハウス内を加温します。

A 灌水は3日に1回程度、午前中に約5分間行います。マルチの下に灌水チューブがあります。

B なすは分枝が多く発生するため、整枝を行います。丹野さんは一番花の下2本の枝を伸ばして3本仕立てにしています。

C なすの茎に何かぶら下がっています。この袋の中には、アザミウマの天敵であるスワルスキーカブリダニが入っています。アザミウマは、多くの野菜に寄生する害虫です。スワルスキーカブリダニがアザミウマの幼虫を補食することで、殺虫剤の散布回数を減らすことができます。

D 葉とり(摘葉)をしている様子です。上の方の葉を取り除くことで光が入りやすくなり、花に栄養が供給されるようになります。取材当時のハウスでの主な作業は葉とりで、とても大変だとおっしゃっていました。

E なすが大きくなると、重みで茎が通路に垂れ下がってしまいます。これから支柱を立ててひもを張り、通路を確保するそうです。

次回は、収穫の様子をお伝えします。

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蔵王サファイヤ:収穫

2018.06.29掲載

今回は、収穫作業の様子を紹介します。


@ ハウスの中をミツバチが飛び回っていました。丹野さんはミツバチによる受粉を行っています。ミツバチを導入することで、人工受粉にかかる時間を、他の作業に充てることができるそうです。

A 肥大した「蔵王サファイヤ」をいよいよ収穫です。取材時、「今の時期は開花から2週間ほどで収穫できる」とのことでした。

B 収穫作業の様子です。収穫できる「蔵王サファイヤ」がないか、確認しながら収穫します。

C 丹野さんは基本的に、ハサミを使わずに収穫します。皮製の手袋をしないと、手にトゲが刺さってしまいます。

D このように人差し指をへたにあて、ポキッと折るのがポイントだそうです。

E もぎたての「蔵王サファイヤ」です。とげがよく見えますね。

F 「蔵王サファイヤ」は漬物用として需要があるため、実が小さいうちに収穫します。

G 収穫したなすは、向きをそろえてカゴに入れます。こうすることで、この後の箱詰め作業がやりやすくなるそうです。

収穫作業は朝の4時半から7時頃まで行い、午前中のうちに出荷するとのことでした。

次回は、出荷について紹介します。

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蔵王サファイヤ:出荷

2018.07.10掲載

収穫した「蔵王サファイヤ」は、選別・箱詰めするため、丹野さんのお宅の作業小屋へ運ばれます。


@ テーブルに、はかりと箱が並んでいます。なすは重さで3S、2S、S、M、Lと階級が分けられ、測った後箱詰めを行います。

A 箱詰めする前に、へたの茶色くなった部分を一つ一つ指で取り除きます。

B 重さを測ります。最も需要があるのは、2S(31〜40g/個)だそうです。

C 夏場の高温時は、「セルアシスト」という鮮度保持シートを箱の底に敷きます。

D 階級別に、それぞれの箱に並べていきます。

E 箱詰めが終わったものです。「蔵王サファイヤ」という名前の由来がわかりますね。

F 「蔵王サファイヤ」の箱ができあがりました。いよいよ出荷です。

G 取材の後、「蔵王サファイヤ」のなす漬けをいただきました。丹野さんのお宅で作られたもので、とてもおいしかったです!

次回は、枝切りの様子を取材します。

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蔵王サファイヤ:枝切り

2018.08.10掲載

7月25日、なすの「蔵王サファイヤ」の枝切りについて取材しました。この時期に枝切りを行うと、8月末に収穫のピークが来ます。丹野さんは、900坪ある圃場を1日100坪のペースで、7月20日から1人で行っているとのことでした。


@ 枝切り前(7月19日)のハウス内の様子です。通路が見えないくらい枝が伸び、葉が茂っています。

A 枝切り作業の様子です。枝の先端部になすが実っていても、次の収穫のためにバランスを考えながら切り落とします。

B 枝切りを通路の途中まで行いました。手前と奥で、枝の繁茂の差がはっきりしています。

C 枝切りが終わると、害虫(ハダニ等)の防除を行います。この機械は通路を自走しながら、薬剤を散布していきます。

D 暑さと水分不足の影響で、「ボケなす」が見られるとのことでした。左のなすには光沢が見られません。箱詰めの際には取り除き、品質を保っているそうです。

丹野さんは、なす作りを始めて約20年です。おもしろいところを伺うと、「害虫対策に苦労するが、まっすぐでツヤツヤした「蔵王サファイヤ」を収穫するときが一番だ」と話してくださいました。「蔵王サファイヤ」の収穫は11月頃まで続きます。丹野さんはもちろん、部会員の皆さんは毎年より良いものを目指して生産を続けられています。山形で作られた「蔵王サファイヤ」を、ぜひ食べてみてください!

丹野さん、取材にご協力いただきありがとうございました。

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