3.エコな農業の取組み
村山地域には、やまがた農産物安全・安心取組認証制度の認証を受けた団体やエコファーマーの方々など、エコな農業の取組みが沢山あります。その中から、エコエリアやまがた推進コンクール(「全県エコエリア構想」推進の一環として平成18年度から開催しています。)で優秀賞を受賞した3つの生産組織を御紹介します。
平成21年度以降のエコな農業の取り組みは、「エコエリアやまがた推進コンクール」で表彰されています。
本沢ハウスぶどう部(平成18年度優秀賞受賞)
本沢ハウスぶどう部の概要
- 生産者:
- 69名
- 面積:
- 45ha
- 設立:
- 平成15年4月
- 農産物:
- デラウェア
- 所在地:
- 山形市大字長谷堂字御手作4450番地
山形市中心部から南西方向に約7kmに位置し、みはらしの丘に隣接する丘陵地帯
本沢ぶどう、御手作米、堀込せり、青菜漬けなどが有名
県内ぶどう生産をリードしてきたブランド「本沢ぶどう」を生産している本沢果樹部会では、以前より環境保全型農業や、安全安心への取組みを実践してきました。
さらに、平成14年の無登録農薬問題発生を機に、消費者の安全安心志向に応え、環境保全型農業を推進するため、他に先がけてエコファーマーを取得しました。
「本沢ハウスぶどう部」はエコファーマーを取得した生産者の集まりです。
エコファーマーの取組み内容
- ○化学肥料を節減
- 土壌診断に基づいて、化学肥料の単肥をほとんど使用せずに、動植物有機80%を含んだ有機入り化成肥料を使用しています。
- ○せん定枝も利用した土作り
- JAの堆肥センターからの堆肥の他に、せん定枝をチップ化してバーク堆肥を作り、園地に還元。せん定枝の野焼きを行わず環境に配慮しています。
- ○化学農薬を節減
- ハウス栽培にすることで、雨が当たることによって広がる病害を減らし、外部からの害虫の侵入を防いで、病害虫の発生しにくい環境をつくっています。
また、除草剤を使用しないで機械除草を行っています。これらを組み合わせることによって、化学合成農薬の使用回数を、慣行レベルの6割未満としています。
安全安心への取組み
- ○「やまがた農産物安全・安心取組認証制度」に参加
- この制度の対象となる取組内容は、農薬の適正使用、生産履歴の記帳、出荷前残留農薬分析などであり、本沢ハウスぶどう部でも参加しています。
- ○ドリフト対策
- 水田に使用する農薬がぶどう園に飛散(ドリフト)してくるのを防ぐため、水田航空防除協議会と連携して、隣接する水田では粒剤を使用することとなっています。
- ◎購入できるところ
- 7月上旬から、(有)エーコープもとさわ直売所などでお買い求めいただけます。
(有)エーコープもとさわ直売所 |
エコファーマーのシールを貼った出荷箱 |
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東根市農業協同組合果樹部会(平成19年度優秀賞受賞)
所在地:山形県東根市大字東根甲1390-1
- ◎地球にやさしい「果樹王国ひがしね」
- 東根市は県内最大の果樹産地で若い農業者も多く、「果樹王国ひがしね」を宣言し、元気のある果樹農業の振興に力を入れています。また、東根市は、山形県内の市町村に先がけて、国際環境規格ISO14001の認証を取得しており、市を挙げて環境保全に努める地球環境に優しい果樹産地です。
- ◎時代を先取りした「エコファーマー」の取組み
- 東根市農業協同組合では、高品質なおいしいくだものを作るための活動を行い、首都圏を中心とした関東・京浜地方において「横綱印のくだもの」のブランドを築いてきました。
平成14年には全国に先がけて、「さくらんぼ」「もも」「西洋なし」「りんご」「ぶどう」の出荷者全員が「エコファーマー」を取得しました。有機質肥料を使った土づくりを基本に、過度に農薬に依存しない自然に近い形で「安全・安心」な農産物の生産を行い、これまで以上に安心して購入してもらえる「安全で美味しいくだもの」の生産に取り組んでいます。
環境に優しい農業の取組み
- 独自の有機質肥料を開発して土壌診断に基づいた適正な施肥を行っています。
- 畜産農家と連携して「完熟堆肥」を施用しています。
- さくらんぼ雨除けハウス等の使用済ビニールを積極的にリサイクルしています。
- せん定枝のチップ化による有効活用のモデル事業に取り組んでいます。
安全な農産物生産の取組み
- 化学合成農薬の使用削減を推進しています。
- 天敵やミツバチ等に影響が少なく、安全性の高い薬剤への転換を推進しています。
- 55品目で「残留農薬の出荷前分析」を行い安全性を保証しています。
- 「やまがた農産物安全・安心取組認証制度」へ積極的に参加しています。
- 栽培履歴がわかるよう「生産工程管理表」の記帳に取り組んでいます。
消費者に対するPR活動
- 出荷箱にシールを添付したり、リーフレットを活用し取組みを紹介しています。
- 友好都市の東京都中央区の各種行事に参加して、安全・安心な「東根」をアピールしています。
- 直売所「よってけポポラ」で、地元の安全な農産物を販売しています。
- 旬の農産物を学校給食に供給しています。
- 生産者が小学校に出向き、生産者自らがエコファーマーの取組みを生徒に説明して、地元の「安全・安心な農産物」を知ってもらう活動にも力を入れています。
このような取組みの結果、東根市のエコファーマー取得者数は、1,090名(H21.6.30現在)となっています。
今後も引き続きエコな農業への取組みの拡大を推進し、消費者からの信頼の確保と生産技術の向上を図りながら、「果樹王国ひがしね」の安全でおいしいくだものづくりに取り組んでいきます。
JAさくらんぼ東根 エコファーマーをPR |
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大江トマト倶楽部(平成20年度優秀賞受賞)
会長 高取 総吉
大江町大字本郷丙332番地42
取組の背景・経過等
○大江町では、平成2年から3名でトマト栽培に取り組みました。平成11年までは、6月中旬から9月上旬までに収穫を行うハウス早熟作型でしたが、10月まで出荷できる夏秋作型へ切り替える検討を始め、研修会を重ねました。その結果、「適所適作」、「土づくり=連作障害の回避」、「長期出荷」の3つを目標に、平成12年から取組み始めました。
○この土づくりに重点に取り組んで行く方針などから、エコファーマーの認証取得に全員で取り組むことになり、平成13年6月に6名全員が県内初のエコファーマーとして認定を受け、近隣産地から一躍注目を集めました。
○平成20年度現在、会員8名全員がエコファーマーです。また、この取組みが契機となり、大江町では現在、大江トマト倶楽部を筆頭に、大江ぶどう部、大江西瓜部、大江茄子部、枝豆部会大江支部、大江促成アスパラガス部会、大江桃部、大江南瓜部の8部会会員全員がエコファーマーの認定を受けており、エコエリア大江町推進協議会が設立されました。
環境に配慮した農業技術と工夫
- ○土壌保全と適量施肥
- 基肥を全量有機質肥料とするとともに、窒素成分の量をこれまでのほぼ半分に減らし、また、生育中に必要な施肥は潅水と同時に毎日少しずつ必要な分だけ施用する、潅水同時施肥栽培を行っています。
- ○減化学農薬の取組み
- 灰色カビ病対策として、循環扇を使ったハウス内空気の攪拌による耕種的防除を導入するとともに、微生物農薬(予防資材)を取り入れ成果を上げています。また、通路に防草シートを導入し、除草剤に頼らない雑草対策を実施しています。
- ○籾殻の活用
- 施設園芸で最も警戒が必要な連作障害を防止するため、組成を吟味した良質な籾殻堆肥を部会マニュアルで作成し、2t/10a以上施用しています。
消費者等との交流など
○トマト倶楽部では、実際の消費者と密接に相互交流をすることに力を入れており、町、JA、生協と連携して、年2回程度、各50名程度の消費者を受け入れ、現地ほ場を案内しながら交流を続けています。また、会員の紹介や生育状況などを記載したトマト通信を年4回発行しています。
エコファーマー認定証授与式 |
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